NPO法人の設立を依頼される方の中には多くがいわゆる社会起業、あるいは福祉に関する起業を計画されていらっしゃいます。
このような方々の中で多く問題となるのが資金の問題です。
・お金のない人からお金を受け取るのはよくないのでは?
・高額な料金を請求するのは悪い気がする
・お金は二の次、何よりもまず世の中に役立つことがしたい
・今までの企業が行っているような利益第一主義とは一線を画す内容でありたい
もちろん、このような考えは悪いことではありません。むしろ素晴らしいことですし、ぜひこのような内容を実践していただきたいと考えております。
しかしその前に考えていただきたいことがございます。
・儲かるビジネスモデルとはどのようなものでしょうか?
・「いくらでもお金を払う」という人、あるいはサービスがあるとしたらどのようなものでしょうか?
当たり前ですが資金がなければ事業はできません。社会事業や福祉であっても資金が必要ということになります。
「立派なことをしているんだからお金の話はタブーだ」といった考えはあまり現実的ではありません。
重要なのは、「いかにして、本来利益にならないビジネスをビジネスモデルとして継続させていくか?」ということにあります。
この場合、主に2点を考慮する必要があります。
1.利益の出るビジネスモデルと組み合わせる
例えば利益の出るビジネスモデルを一つ考えてみてください。これと社会起業ないしは福祉を組み合わせます。これらで得た信頼ないしは人脈などを利益性の高いビジネスに繋げていくという発想です。
単に利益至上主義ではかえって利益が生まれないかもしれません。そのようなビジネスモデル、あるいは従業員の姿勢がかえってお客様の信頼を獲得できなかったり、あるいは競合相手が多く、顧客獲得が非常に難しかったりする場合等が考えられます。
こういった場合おいて、いわゆる社会起業ないしは福祉等を通じて地道に顧客獲得のツールとして活用するという方法です。
もちろん、あまり高額な商品を強引に売りつけるような行為に結びつける行為は論外ですが、ある程度の連動行為は非常に有効な手段として機能しうると考えられるでしょう。
つまり、お互い単独では直ちに利益を確保するのが難しい場合であっても、両者が協力し合うことにより利益を生むことが可能になるということです。
2.利益の出るビジネスと協力する
前述の場合とほぼ同じですが、これは自ら二つのビジネスモデルを構築するのではなく、社会起業ないしは福祉事業を行うことで、既に利益を上げている企業等から協力を募る(寄付金、広告収入、協賛金等)方法です。
例えばテレビ局や新聞社の場合、これらの会社そのものは単独で十分な利益を生むことはありません。基本的には広告収入というものが主な収入源となっております。
つまり、企業等から広告料を受け取る代わりに、その企業を宣伝する。その宣伝手段としてテレビ番組を制作し、あるいは新聞を発行するというものです。
これに広告効果があると判断すれば多額の広告料を受け取ることができるというものです。
つまり、社会起業、あるいは福祉等単独では十分な収益を確保することができない場合であっても、それらの活動によって企業の宣伝等に貢献する等の事業内容を示すことができる場合、それらの組織から広告料等の資金提供を受けることも可能であるというものです。
もちろん、これらの条件としてそれら企業の意向に沿った活動が義務付けられます(いわゆるスポンサーとなるため)
それでも実際赤字となるはずのビジネスモデルを黒字に転換できることにより、一つの社会事業を世に送り出せるというのは大いにメリットのあるものといえるでしょう。また、前述の場合と異なり、二つのビジネスモデルを構築する必要がなく、一つの事業に専念できるのも大きなメリットです。
いわゆる社会起業というもののハードルが高い原因として、収益性の考慮がまだまだ不十分なケースが多いのが一つの問題と考えられます。
つまり、最初から利益が出ないものという前提で、善意ありきという固定観念のようなもので始めるというものです。
もちろん、善意が重要ですし、そのような考えがなければ始められないのは事実でしょう。
しかし、ビジネスである以上、現実との折り合いをつけるのも善意と同じくらい重要です。そのためにも収益性に関し、より多くの選択肢を視野に入れて起業を検討する必要があるといえるでしょう。